自動化を検討するとき、多くの議論は「やるか、やらないか」から始まります。この工程を自動化すべきか。ロボットを入れるべきか。けれど、この問いの立て方が、すでに選択肢を狭めています。
見極めとは、導入の可否を決めることではありません。どの作業を、どこまで、いつ機械にするかを問うことです。全部か、ゼロか、ではない。その間に、無数のかたちがあります。
なぜ「やるか/やらないか」では見極められないのか
「やるか/やらないか」で考えると、答えは二つしか出てきません。全部自動化するか、何もしないか。けれど現場の工程は、そんなに単純ではない。測る作業は機械が得意でも、判断は人のほうが速いことがある。動かす部分は自動化できても、段取り替えは人が要る。一つの工程の中に、機械に向く部分と、人が担うべき部分が混じっています。
だから「やるか/やらないか」で迫ると、向かない部分まで無理に機械にして過大な投資になるか、向く部分まで人手のまま放置して機会を逃すか、どちらかに転びやすい。二択は、見極めの解像度が粗すぎるのです。
工程を3つの要素に分解する
解像度を上げるために、ロボットの3要素を「ものさし」として借ります。どんな工程も、「測る・判断する・動かす」に分解できます。
そのうえで、要素ごとに問いを立てます。これは機械に向くか、人が担うべきか。全部か、一部か。いまやるか、技術を待つか。この問いの答えの組み合わせが、そのまま自動化のかたちになります。3要素すべてを機械にすれば全自動。一部を機械にし、残りを人が担えば半自動。いまは測るところだけ機械にし、判断と動作は人に残して、技術が追いついた段階で順に移していけば、段階的な投資になります。
見極めとは、この分解と問いそのものです。「やるか/やらないか」という二択を、「どの要素を・どこまで・いつ、機械にするか」という設計の問いに変える。とりうるかたちを漏れなく並べてから、選ぶ。
※ 3要素をものさしにする考え方の詳細は ロボットとは何か で扱っています。
多くの現場は、人と機械で分けるかたちに落ち着く
こうして分解していくと、多くの現場では、すべてを機械にするかたちには行き着きません。現場の多くは品種も量も変動し、熱や非定型作業など、機械に向かない要素がどこかに残るためです。その結果、人と機械で役割を分けるかたち——人機協調——が、現実的な最適解になりやすい。ただしこれは現場によって変わり、技術が進めば機械に委ねる範囲を広げていくこともできます。
大切なのは、結論を先に決めないことです。「人機協調がいい」と決めてから現場を見るのではなく、ものさしで測った結果として、その現場に合うかたちを選ぶ。順序が逆になると、見極めは、ただの売り込みになります。
見極めの次に、選ぶ
見極めは、どのかたちを目指すかを決めるところまで。その先、具体的にどのメーカーの、どの機種を選ぶかは、また別の判断です。かたちが決まって初めて、機種選びの基準が定まります。具体的な選び方は 機械の見極めかた で扱います。
私たちが最初に行うのは、この見極めです。どの工程の、どの要素を、どこまで機械にするのが、あなたの現場と投資余力に最も合うのか。そこを一緒に設計します。