GUIDE

協働ロボットの値段、開けて並べます。

本体だけでなく、周辺機器・SI・保守・教育まで。事実と数値で。判断は、あなたの手元に残します。

協働ロボットの本体価格は、メーカー公式サイトに載っていないことがほとんどです。日本市場では特にその慣行が濃い。当社は買い手側の立場で、公式・IR・業界統計(IFR、Interact Analysis、A3、ISO 等)から集めた事実と数値を、そのまま並べます。売り手声も、比較も、順位も、この記事にはありません。

数値はすべて観測時点 2026年7月のもの。通貨は建値のまま表示します(為替換算はしません)。価格は変動するため、最新は各出典リンクで確認してください。

1. 本体価格の相場

各社の協働ロボット本体価格は、下表の通り。メーカーが公式サイトで公表している系と、代理店ネット価格のみ観測できる系Web上で価格に到達できない系の3つに分かれます。数値は2026年7月時点の観測値、通貨は建値のまま。

表A:公式サイトで直販価格を公表しているメーカー

メーカー機種可搬リーチ建値出典
FAIRINOFR33kg622mmUSD 6,799fairino.us
FAIRINOFR55kgUSD 7,999fairino.us
FAIRINOFR1010kgUSD 10,199fairino.us
FAIRINOFR1616kgUSD 11,699fairino.us
FAIRINOFR2020kgUSD 15,499fairino.us
FAIRINOFR3030kgUSD 18,199fairino.us
DOBOTNova 22kg約625mmUSD 12,790〜dobot.us
DOBOTNova 55kg約924mmUSD 13,790〜dobot.us
DOBOTCR10A10kg1300mmUSD 33,380/EUR 25,699dobot.nu

表B:代理店ネット価格(メーカー本体は非公表)

メーカー機種可搬リーチ代理店ネット価格代理店出典
Universal RobotsUR3e3kg500mmUSD 33,011Devonics(米)devonics.com
Universal RobotsUR5e5kg850mmUSD 37,245〜38,363Devonicsdevonics.com
Universal RobotsUR16e16kg900mmUSD 51,979MTP(米)machinetoolproducts.com
Universal RobotsUR2020kg1750mmUSD 62,990MTPmachinetoolproducts.com
FANUCCRX-10iA10kg1249mmUSD 46,025MTPmachinetoolproducts.com
FANUCCRX-20iA/L20kg1418mmUSD 55,889〜MTPmachinetoolproducts.com
FANUCCRX-25iA/30iA25/30kg1889mmUSD 60,868〜MTPmachinetoolproducts.com
Elite RobotsCS633kg624mmUSD 21,100MTPmachinetoolproducts.com
Elite RobotsCS666kg914mmUSD 24,100MTPmachinetoolproducts.com
Elite RobotsCS61212kg1304mmUSD 31,400MTPmachinetoolproducts.com
Elite RobotsCS62020kg1800mmUSD 41,400MTPmachinetoolproducts.com
TechmanTM1212kg1300mmUSD 約34,000/EUR 約31,800WiredWorkers(蘭)wiredworkers.io
KUKALBR iiwa 7 R8007kg800mmUSD 60,000〜70,000集計standardbots.com
KUKALBR iiwa 14 R82014kg820mmUSD 65,000〜70,000集計standardbots.com
ABBYuMi 単腕(IRB 14050)0.5kg559mmUSD 31,000〜35,000Unchained Robotics(独)unchainedrobotics.de
ABBYuMi 双腕(IRB 14000)0.5×2kg559×2mmUSD 45,000〜60,000集計new.abb.com
JAKAZu 1212kg1327mmUSD 29,400〜39,550Triple Automationtripleautomation.com
HUAYANElfin-55kgINR 1,280,000India Martindiamart.com

表C:Web上で価格に到達できないメーカー・機種(2026年7月時点)

  • ROKAE xMate 全機(公式:rokae.com
  • AUBO iシリーズ/iS3〜iS35/C/E/Haina(公式:aubo-cobot.com
  • SIASUN GCRシリーズ
  • DOBOT CRA5/CRA10(公式:dobot-robots.com
  • UR30KUKA LBR iisyABB GoFa 具体金額FANUC CRX-3iA(2026年1月量産開始の発表のみ・価格未公表:fanuc.co.jp

Universal Robots、FANUC、KUKA、ABB、Techman、ROKAE、AUBO、SIASUN の8社は、2026年7月時点で本体価格を自社サイトで公表していません(複数の一次確認による)。

2. 日本市場の公開参照値

日本市場では、本体価格を公式・代理店ともWebで公表する慣行が特に希薄です。2026年7月時点で唯一の公開参照値は、オリックス・レンテックのUR20レンタル料。月額392,600円(税別)、6か月パック981,500円オリックス・レンテック)。

3. 本体以外に何にいくらかかるか

協働ロボットの導入で、本体価格が総額の40〜50%を占めるのが業界慣行です(Robotomated/Mecademic)。残り50〜60%は、周辺機器・SI・据付・教育・保守。売り手が「本体はお安く」と言うとき、本当に確認すべきはこの残り50〜60%です。

表D:周辺機器の相場

種別型式例価格出典
電動2指グリッパRobotiq 2F-85USD 4,999〜5,825roboticscenter.ai
力覚統合2指グリッパOnRobot RG2-FTUSD 11,374〜11,598emicorp.com
6軸力覚センサOnRobot HEX-E QCUSD 3,460emicorp.com
2DスマートカメラCognex In-Sight 7000USD 736〜5,465automationindustrial.com
3DスマートカメラKeyence XG-X系(構成込)USD 10,000〜40,000超accio.com
3Dビジョン一般帯(協働ロボット用途)業界横断USD 8,000〜20,000robotomated.com
2Dビジョン一般帯業界横断USD 3,000〜6,000robotomated.com
セーフティレーザースキャナSICK microScan3 CoreEUR 16,848〜48,222generationrobots.com

ソフト・保守・教育

  • Universal Robots Academy(e-Learning):無料universal-robots.com/academy
  • UR Certified Training(対面2日コース):公表価格なし、Authorized Training Partner 経由(academy.universal-robots.com
  • 年間保守:USD 2,000〜8,000(稼働強度・保守契約有無で変動)
  • 統合エンジニアリング+保守立ち上げ:ロボットアーム価格の40〜60%、うちエンジニアリング10〜20%(standardbots.com

4. 導入SI費用(日本の実務相場)

項目目安出典
日本 SIer総合(設計〜据付〜ティーチング〜教育)単純用途:本体価格の50〜100%/複雑用途:400〜600%OptiMax
日本 総額(本体+周辺+SI・2026実務相場)1,000〜2,000万円(本体100〜600万円)OptiMax
日本 産業ロボットシステム総額本体価格の2〜4倍(500〜2,000万円超)フィジカルAI補助金ナビ
日本 IT/SIer人月単価(JUAS参照)平均117.5万円/人月(PM 70〜130万・SE 80〜110万)app-tatsujin
北米 協働ロボット総合デプロイ本体 USD 25,000〜60,000/総額 USD 40,000〜150,000(turnkey倍率2.5〜4×)standardbots.com

5. TCO計算式

Robotomated と Mecademic が公表する5〜7年モデルでは:

TCO = 取得コスト + 稼働コスト + 保守コスト + 廃棄/残価調整

取得コストの内訳は、業界慣行で以下の比率です。ロボット本体40〜50%/コントローラ・ティーチペンダント10〜15%/グリッパ10〜20%/ビジョン・センサ5〜15%/SI・据付・安全評価・教育10〜20%。

「アーム1に対して周辺1.5〜2.5倍」が業界慣行値です(EUR 30k のアーム → セル総額 EUR 75〜100k)。年間保守は USD 2,000〜8,000。分析期間は5〜7年(物理耐用10〜15年、5年後残価15〜30%)。

A3(Association for Advancing Automation)のTCOツールは「取得価格の年5%保守+実電力量」で計算します(automate.org)。電力は、協働ロボットは単相電源で1kW未満帯が主流です。

6. ROI計算式

Universal Robots と A3 が共通で使う基本式:

回収月数 = 総設置コスト ÷ 年間ネット便益
年間ネット便益 = 人件費削減 + スループット増 + 品質改善 + ダウンタイム回復 − 年間運用費

ここで注意すべきは、フルバーデン人件費の扱い。時給×年間労働時間だけでは30〜60%過小評価になります。米国製造業では base rate × 1.3〜1.6 が実務値(社会保険・教育・監督・離職コスト込み)。稼働率は1シフト8h/2シフト/24h・365日で回収年数がほぼ線形にスケールします(universal-robots.com)。

表G:用途別回収年数の相場

用途回収期間レンジ前提
Pick & Place5〜8か月2シフト、標準グリッパ
CNCタンディング6〜8か月単純部品・2シフト
パレタイジング8〜18か月単一ライン置換
プレスブレーキ(低量多品種)10〜16か月段取り15分未満、1人2機運用
業界平均(協働ロボット)6〜18か月2シフト・単一用途
従来型6軸産業用12〜36か月セーフティケージ込み

出典:Universal Robots、A3、AMD Machines、iFactory、TOMA、EasyRobotics、Olympus Technologies、IFR

7. 回収不能となる典型条件

以下の条件は、投資回収を長期化させるか、回収不能に至らせます。

  • バッチサイズが小さすぎる:1バッチ10〜12個未満で成立困難、閾値は15〜25個
  • 稼働率が低い(1シフトのみ):8h/日未満で回収期間が線形に悪化
  • 段取り替えが多すぎる:切替15分超・週次以上でオペレータ時間を食い潰す
  • 周辺・治具コストが本体を上回りすぎる:「アーム1:周辺2.5」を超え、USD 40k のアームが USD 100k 超のセルに膨張
  • 人件費削減しか算入していない:ROIを35〜50%過小評価(スループット・品質・ダウンタイム未算入)
  • 運用体制が整わない:SIエコシステム不足が中小の主要ボトルネック(IFR)

出典:McKinsey、EVSInt、Olympus Technologies、IFR World Robotics 2025

8. 価格を左右する要素

「なぜこの機種はあの機種より高いのか」は、下の要素で説明できます。

表H:仕様軸と価格インパクト

観測レンジ
可搬 3〜6kg帯USD 15,000〜35,000
可搬 6〜12kg帯USD 25,000〜50,000
可搬 12〜30kg帯USD 35,000〜75,000
リーチ2倍化価格1.5〜2倍
繰返し精度 ±0.02mm標準機比 +20〜40%
7軸(冗長軸)同ペイロード比 +10〜25%

表I:環境対応の追加費用

環境追加費用目安
IP54(標準工場)ベースライン
IP65(防塵・水流噴射)ベース比 +5〜15%
IP67(粉塵密閉)ベース比 +20〜40%(FANUC CRXは全機標準IP67)
IP69K(食品・医薬の高圧洗浄)ベース比2倍前後
クリーンルーム ISO Class 5数十%上乗せ
防爆 ATEX/IECEx Zone 1/21標準機の3〜5倍(USD 25k〜60k → USD 75k〜300k)

認証(2025年の構造変化)

  • ISO 10218-1:2025(2025年4月発効):ロボット本体の安全設計要件(iso.org
  • ISO 10218-2:2025:セル/システム統合要件。ISO/TS 15066 の力制限・接触速度要件をこの版で正式統合し、ISO/TS 15066 単体規格の役割は終了(iso.org
  • ISO 13849-1 PLd/e:UR e-Series 全機種標準搭載
  • CE(機械指令):EU出荷必須/UL/NRTL:北米出荷/KCs/CR/NSF-H1/SEMI S2:各地域・業種別

用語の再定義:ISO 10218:2025 では「協働(collaborative)」がロボット固有の属性ではなく、アプリケーションの属性として再定義されました。「協働ロボット製品を買った」ことは安全達成の必要条件でしかなく、セルごとのリスクアセスメントが2025年以降より重要になります。

表K:SDK開放度

ブランドSDK/ドライバライセンスROS 2
Universal RobotsUniversal_Robots_ROS2_DriverApache 2.0(OSS)○(CB3・e-Series全対応)
Techmantm2_ros2 / tmr_ros2Apache 2.0(OSS)
Doosandoosan-robot2(ROS 2 Humble)Apache 2.0(OSS)
FANUCROS-Industrial(コミュニティ)/公式 PC Developer's Kit商用(別途契約)×(限定)
ABBRobotStudio SDK/abb_ros2(コミュニティ)RobotStudio 商用

OSSのSDKを採用する機種は、SIer工数を数百万円規模で圧縮できる可能性があります(FANUC/ABB系は ROBOGUIDE/RobotStudio の有償ライセンスと PC Developer's Kit が別途必要)。

9. 業界統計・価格トレンド

IFR、Interact Analysis、MarketsandMarkets の一次データから:

  • 2024年 世界の協働ロボット出荷は64,500台、産業用ロボット全体の11.9%、前年比+13%(IFR
  • 2024年 世界市場 USD 1.26B、2030年見込 USD 3.38B、CAGR 18.9%(MarketsandMarkets
  • 2024年 世界ARPU −4.1%、2025年見込 −3.5%。2024→2029年で平均販売価格は10%超の下落、2025→2030年で単価 USD 45,000 → USD 35,000(Interact Analysis
  • 中国は世界最大の協働ロボット市場で、中国メーカーが世界出荷の50%超(evsint.com
  • 協働ロボット単体 USD 25,000〜60,000 に対し、従来型6軸は USD 50,000〜200,000超。セル総額では協働ロボットが従来型セルより50〜70%低い水準(Standard Bots

過去5年の傾向は、中国メーカーの参入と大量供給によって、世界の平均販売価格が下がり続けていること。円安(USD/JPY 160円台)が続く日本市場では、欧米の協働ロボットの円建て輸入価格は上がる一方で、中国の協働ロボットの円建て価格は相対的に据え置きになる構造です。

参考文献

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